中国の家計は余裕がなくなっている可能性

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中国人民銀行の統計を見て驚いたのは、家計向け貸出(銀行とノンバンクの合計)の伸びが鈍化していることだ。2017年始めには前年比25%の伸び率だったのが直近は18%。先進国の基準では相変わらず驚異的な増え方なのだが、中国では急ブレーキがかかったイメージとなる。グラフは割愛したが、家計向け融資の伸びが鈍化する一方で、企業向け融資が急増していることも懸念材料だ。

解説しよう。家計向け貸出の用途は、第一に住宅ローン、次いで自動車ローン、中国ではこの二つしかない。もちろん、その他の用途に用いられるカネもあるだろうが、それは中国では闇金融で借りる性格のものだ。

それで何が言いたいのかというと、住宅価格が上がり過ぎたことと、景気悪化で賃金が伸び悩み、新規に住宅や自動車を買う余裕がなくなっているということだ。上海在住の知人によると、かの地のマンション価格は坪300万円、住宅ローンの金利は7%だという。一方で平均年収は200万円くらいなのだ。

これでは買えないと思うのだが、家がないと結婚が出来ないというので、親の援助など、かなり無理をしてマンションを購入している由。そのうえ更に見栄を張って自動車も買っているという。こちらも借金で購入しているのだろう。

だが、そんなことが長続きするはずがない。だから家計向けの融資の伸びが鈍化し、自動車の月次販売台数も前年比二桁のマイナスとなったのだ(上図は12か月移動平均のデータなのでプラス0.9%になっている)。

では、家計向け貸出の伸びが鈍化すると同時に、企業向けの貸出が大きく増加したことは一体何が問題なのか。これは住宅販売の不振で、資金繰りが厳しいディベロッパーに銀行が追い貸しをしている可能性があるからだ。

中国はいま相当困っているのでないか。何せ10月に安倍首相が訪中した際に、天安門広場で中華人民共和国の建国以来、初めて日の丸が掲げられたくらいなのだ。そんな具合なので、今日のトランプ、習会談で中国が譲歩し、輸入品の一律25%関税という最悪の事態が回避されたとしても、時間稼ぎにしかならないように思う。







by shigg816 | 2018-12-02 01:00 | 金融経済 | Comments(0)

各種統計から独自の切り口でグラフを作成し、経済の先行きを考えるヒントを探ります。


by shigg816
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