マクロベースの米企業収益は停滞している

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米国のGDP統計は日本よりはるかに多くのデータを網羅している。非上場企業を含めたマクロベースの企業収益もその一つである(日本では法人企業統計がその役割を担っている)。今回、そのデータが発表されたのでグラフにしてみた。

ポイントは企業収益が著しく伸び悩んでいることだ。税引き前収益では未だに2014年、つまり4年前の水準を下回っている。ウォール街はいつも、x%増益と景気の良い発表をするが、GDP統計のデータをみると停滞としか言いようがない。

その理由は、企業が証券市場に発表する収益と、米会計基準(GAAP)に基づく数値が異なるからである。詳しいことは筆者もわからないが、米証券界では日本で言うところの特別損失を除いた数字が重要視されているようなのだ。このため、GAAPに基づく企業収益と、証券市場でコンセンサスとなっている企業収益とでは乖離が拡がっている。

尤も、税引き後の収益は最高値を僅かに更新している。だが、これも大幅減税のお陰に過ぎない。トランプ税制によって米国の法人税は実効ベースでは24%⇨15%に低下している。今世紀初頭、法人税率は38%だったことから考えると、半分以下になったわけだ。それでも企業収益(税引き後)は大して増えていないのだから、米国経済は何か大きな問題を抱えているのだろう。







Commented by GC at 2018-12-04 18:00 x
いつも楽しみに記事を拝見しております。
以前、米国の鉄道貨物輸送量や石油消費量も停滞しているデータを見て、経済が成長しているのにそれらが伸びていないのは何でなんだろう?と疑問に感じたのを思い出しました。米国経済は確かに大きな問題を抱えていそうですね。
Commented by shigg816 at 2018-12-04 18:23
> GCさん
いつもありがとうございます。いま週刊エコノミストで、「グラフの声を聞く」という連載を持っていて、今回はこのテーマにしようと考えているのですが、ブログと違って字数制限があるので悪戦苦闘しています。

それはともかく、ご指摘のように石油消費量が減っているから在庫が増えて、原油の価格が下がっているのです。ですから石油の価格は米国の景気動向を見る上で、とても重要です。企業収益も一握りの会社は凄く儲かっているのですが、他は大したことがなく、生産性も高くありません。

少し前のブログで書きましたが、BIS の調査では、米国ではインタレストカバレッジレシオが1未満の上場企業が全体の16%もあるとのこと。つまり、営業利益と受取り利息、配当の合計より利払い額の方が大きい会社がある6社に1社もあるなんて、クレージーです。ちなみに、この比率ですが、日本は1.2%しかありません。日本企業はバブル崩壊で借金に懲りたので財務が著しており、米国株がおかしくなれば見直し買いが入るように思います。

ではまた。市岡
by shigg816 | 2018-12-04 00:46 | 金融経済 | Comments(2)

各種統計から独自の切り口でグラフを作成し、経済の先行きを考えるヒントを探ります。


by shigg816
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