公的年金のリスク資産はいま

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公的年金(GPIF+共済)のリスク資産(対外資産+上場株式)残高は132兆円(日銀の資金循環統計、2018年9月末時点)。その内訳は、上場株式が54兆円、対外証券投資(株や債券など)が78兆円である。12年9月末時点では、それぞれ16兆円と31兆円だったので、リスク資産の残高はこの6年間で85兆円も増えたことになる。

この数字は時価ベースなので、実際の資金投入額のほか、値上がり分も含まれている。そこで純資産に占めるリスク資産のウエイトをみると、12年の29%から18年は56%とほぼ倍増の勢いだ。

だが18年9月から12月にかけてTOPIXは18%下落した。ということは、日本株だけで10兆円近い資産が吹き飛んだ計算になる。

では外国証券はというと、資金循環統計では対外証券投資の内訳がわからない。そこでGPIFのHPから対外証券投資の内訳をみると、外国株が44兆円、外国債が25兆円で6:4の割合だ。ということはGPIFと共済年金を合わせた外国株の残高は47兆円くらいだろう。こちらは約16%の値下がりなので、だいたい8兆円の損失だ。つまり、日本株と外国株を合わせると18兆円が失われたことになる。

米社債市場の異変も要注意だ。昨日のFT紙は、大手米銀はトレーディング用の社債持ち高を削減しており、Baa 債の在庫は8割減だと報じる。このため市場では流動性が失われ、Baa債などはブルンバーグの表示値で売れることはないというのだ。そんなBaa債が景気の悪化でジャンク級に格下げになれば、年金基金はパニックになるだろう。尤も、公的年金は優良社債を満期まで保有するので関係がないのかもしれないが。。。

更なるリスクは為替である。下図は公的年金の対外証券残高とドル円相場を重ねたもので、2016年くらいから両者は相関していない。これをどう捉えるかは一概には言えないが、世界最大の機関投資家が何十兆円もの対外投資を行っても、ドル円は現状維持がやっとなのである。だとすると、この先、いつ円高が進行してもおかしくないのでないか。
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by shigg816 | 2019-01-10 14:02 | 金融経済 | Comments(0)

各種統計から独自の切り口でグラフを作成し、経済の先行きを考えるヒントを探ります。


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