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グラフの声を聞く 2018年11月6日号のアップデート

皆様、いつもありがとうございます。さて昨年10月末より週刊エコノミスト誌上で「グラフの声を聞く」を連載をしています。そこで掲載した過去に連載した拙文を週2回のペースでご紹介していきます。今日はその一回目として、昨年11月6日号に書いたものを掲載します。なお文章は掲載当時のままですが、グラフは最新のものにアップデートしています。

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21世紀に入って最も値上がりした資産は金だ。米国株の上昇率が2倍なのに対し、金は4・6倍になった(図1)。2001年1月の金価格は1トロイオンス268ドルだったが現在は1200ドル台である。

08年以降の金上昇の主因は、新興国の公的金準備の積増し。その量は5027トンから9259トンと2倍になった。このうち中国とロシアの2カ国で増加分の3分の2を占める。なかでもロシアの金準備はこの10年間で1500トンも増加し、直近では約2000トン、時価に換算すると約785億ドルにもなる。


この過程でロシアは米国債保有額を10分の1以下に激減させ、今は官民合計で90億ドルしか保有していない。ロシアは米国との関係悪化に備え、外貨準備をドルから金へとシフトしたのである。

 これはトルコも同じだ(図2)。この1〜2年で米国債の保有額を半減させる一方で、公的金準備は倍増している。ドル建て債務の返済原資が不足しているのにだ。そこまで極端ではないが、インドなども米国債の保有を抑制し、金準備を増やしている。


中国はどうか。まだ米国債を急減させるまでは至っていない。だが、対米貿易戦争がエスカレートするならば、そうした可能性は否定できない。


★(現在のコメント)この傾向はこの10か月間でさらに促進されており、中国は今年に入ってから毎月、金準備を積み増している。


by shigg816 | 2019-06-23 21:04 | 金融経済

各種統計から独自の切り口でグラフを作成し、経済の先行きを考えるヒントを探ります。


by shigg816
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